第27回:聞けないよ、今さらXLRケーブルのこと。どこに接続するのかも分かりません

前回はXLRケーブルの特徴と役割について学びました。まさかノイズが関係しているなんて思いもしませんでしたね。

そうですね。ノイズを打ち消すだけのために、本当に大変なことをやっているというわけです。でも、この仕組みのために逆相信号を作って増幅する必要があり、これがプリアンプであれば、Lでホットとコールド、Rでホットとコールドの合計4ch分のアンプが必要になります。バランス対応機器はアンバランスの機器に比べて2倍の回路が必要になるわけです。

だからバランス伝送対応DAP(デジタルオーディオプレーヤー)って、高額で厚みもあって重たいんですね。

 

 

 

 

ヘッドホンの場合はちょっと違いますが、DACの場合はフルバランス構成であれば、DACをLR独立で2基搭載してオペアンプもステレオ用を2基搭載して4ch分の信号を作ります。実はDACはAVアンプなどにも使われるため、1チップに8chとか16ch分の回路が入っており、1個でバランス対応できちゃうんですね。

 

バランス出力とアンバランス出力を搭載しているDAC。

でも距離が短い場合は、バランス接続しなくてもノイズの影響を受けないんですよね。距離が短いから。

ライン信号なら出力も大きいので、ほとんどノイズの影響は受けないでしょうね。でも、聴感上では音場感の向上、音像定位が明確になるなどの音質向上効果が感じられます。

出力側の機器は大変ですが、受ける側は信号を合成するだけでいいんですよね。

そうです、だからバランス対応パワーアンプは意外とカンタンに出来ますが、DACDAP、プリアンプは大変です。

う〜ん……。だとすると、バランス専用コンポとアンバランス専用コンポは接続できないのでしょうか?

変換ケーブルを使えば物理的に接続はできます。でも、インピーダンスが合わないとか、バランスは+4dBとか、2番ホットか3番ホットかなどの問題なんかも発生するので、あまりオススメできません。

 

素直にバランス対応コンポ同士をバランス接続してください。

 

RCAからXLRへの変換ケーブル。

出力がアンバランスで入力がバランスなら、まず問題はない。

こんなのもあるんですね、っていう程度で話がややこしくなりそうなので、ここは「通過(スルー)」したいと思います。でも2番ホット問題については気になります。

XLR端子には1番ピン2番ピン3番ピンがあります。

 

この中の1番はグランドと決まっています。これは常に1番ピンが先に接地して、信号が流れている状態で機器を接続してもバチッというノイズを出さないためです。RCAケーブルはホットから接地するので、電源OFFで接続するのが基本です。

 

さて、グランドは決まりましたが2番と3番のどちらがホットかは決まっていませんでした。しかし、1992年に2番ホット3番コールドというのがAES(Audio Engineering Society)のAES14-1992で規格化され、今では2番ホットが主流です。

 

拙宅で使っているJDFというフランス製パワーアンプは3番ホットを採用。

絶対に2番ホットとは限らないので確認が必要だ。

ユーザーにしてみれば、統一して欲しいですよね。

電車に乗るときも、何番線にどの電車が来るのか統一してもらった方が分かりやすいもん。

 

それで、2番線……違った、2番ホットのコンポと3番ホットのコンポをバランス接続すると悪影響があるのでしょうか?

実は全く問題ありません。位相が逆になりますが、LRの位相は揃っているので音像定位に問題はありません。私も気分的に2番3番クロスのXLRケーブルを使っていますが、音質的にもほとんど変化はありませんね。

 

かえって変換コネクターなどを挟むと接点が増えて音質が悪化する恐れがあります。

う〜む、電車がどのホームに到着しようが、行き先さえ合っていれば問題ないということなのか……。

 

そういえば、スピーカーのプラスとマイナスが1本だけ逆だと変な音になりますが、両方ともに逆だと普通に聞こえると言いますよね。それと同じなんだな、きっと。

2番3番ホット問題に関しては気にしないのが正解です。

あ、そういえばXLRケーブル1本だけど、バランス対応のヘッドホンケーブルを見たことがありますよ!

それは4ピンのバランスケーブルですね。

ヘッドホンの場合は接続方法がちょっと違うのでLR4ピンでバランス接続できます。

 

4ピンバランス入力端子を採用したヘッドホンアンプ。

 

4ピンバランス端子は主にヘッドホン用に使われる。

そういえばヘッドホンは2.5mmと3.5mm、4.4mmの4ピンバランスケーブルというのがありますね!

これまたややこしい話なのですが、ヘッドホンの場合は3ピンのアンバランス接続と4ピンのグランド分離接続、そして4ピンのバランス接続があります。

 

まず3ピンのアンバランスですが、LRのグランドが共通です。これにLRのホットが加わり3本の線でステレオ信号を送っています。

 

バランス接続の場合は、4ピンでLRのホットとコールドの信号を送っています。

 

それではグランドはどうなったのか?

 

実は浮いています。グランドはシールドの役目を果たすだけで、信号が流れていません。もしケーブルがシールド構造なら、どこにも接続していません。この状態をグランドが浮いていると言います。

 

全く同じ端子を使っておこなうグランド分離接続は、信号はホットのみアンバランスですが、グランドをLRで分離しています。 これはバランス接続とは違いますが、アンプの数を増やさずに手軽に音質向上効果が望めるので、採用するメーカーが増えています。

ややこしいよぉ〜。

 

つまるところ、4ピンのバランス接続のための端子には、XLR3ピン×2、XLR4ピン、2.5mm4ピン、4.4mm5ピンなど、いろいろなタイプがあるということですね。

これはヘッドホン業界ではアンプ以上に面倒な問題で、変換ケーブルかアダプターを使わないと物理的に接続できません。私もヘッドホンの試聴のために、実はかなりの数の変換ケーブルを自作してきたんですよ!

 

4ピンXLRを3ピンXLR×2に変換するケーブル。

 

4ピンXLRを2.5mm4ピンに変換する市販品のケーブル。

 

3ピンXLR×2を2.5mm4ピンに変換する市販品のケーブル。

 

3ピンXLR×2を3.5mm4ピンに変換する市販品のケーブル。

最近では4.4mm5ピンもソニーを中心に増えて来たので、また変換ケーブル作る必要がありますよね!

ハンダ付けは好きだけど、これ以上、端子の規格が増えるのは勘弁してもらいたいよ〜。

ほんとですね。これ以上私の頭の中もグチャグチャにしないでほしいです!笑

 

さてさて、最後に重大発表があります!!

えっ!? なに? まさか……!?

実は……。

 

 

 

オントモ・ヴィレッジにて、XLRプラグもラクラク入るアモルメット NS-385が発売されました!

宣伝か〜い!


コメント
コメントする








   

category01.png

fb.pngtw.pnginsta.pngyt2.pngRSS2.png

OV_top.jpg

EC_top.jpg

02.png

03.png

Stereoblog.png

musimegane.png サイト内で検索する

profile.png プロフィール

音楽之友社が運営するWebマガジン「ONTOMO」のブログ。音楽/オーディオ雑誌発のこだわりの限定品や、情報を発信します。

categoryies.png カテゴリー

selected entries.png 最近の投稿

archives.png アーカイヴ

carender.png カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

iphone.png mobile

qrcode