第21回:FRP? 定在波? 思考回路はショート寸前。

ゴンさん……。ボクはもう前回のノイズの話が難しかったから燃えつきたよ。真っ白にね。    

そうやって時々真っ白になってますが、すぐに髪が黒く戻るのはなぜですか?    

実ハ、ワレワレハ…宇宙カラキタ、ステレオ星人ナノダ!    

はいはい。では今回はちょっと話題を変えて、昨年の12月に開催された「自作スピーカーコンテスト」を振り返ってユニークなスピーカーをチェックしてみましょう。214通から選ばれた粒ぞろいのスピーカーばかりですよ。  

アノ……、ステレオ星人……。

 

 

 

今回のコンテストでは、パイオニア製6cmフルレンジ「OMP-600」がレギュレーションに指定されています。私も持っていますが、小型ながらバックロードにも使える駆動力の強いスピーカーユニットです。

 

入口には憧れの大型バックロードホーンが展示された。

月刊「Stereo」2018年2月号にもゴンさんの詳細レポートが掲載されていましたが、毎年、盛り上がりますよね。私もスタッフとしてお手伝いしましたが、本当に毎年力作揃いで驚くばかりです。

 

来場者が展示された手作りスピーカーに熱い視線を注ぐ。

私が驚いたのはFRPを使ったデスクトップ型スピーカーで安福幹夫さんが作った「デスクトップCC星人」です。エンクロージュアの理想は定在波が起こりにくい角がない球形です。

 

オーッ! 「デスクトップCC星人」、ワレワレ、トモダチ!! 

 

宇宙の技術を駆使して定在波を起こりにくくするとは! で、「テーザイハ」とは、なんぞ?

定在波の説明には、よく「やまびこ」の例が出されるのですが、山で「やっほーっ」と言ったら山に跳ね返って「やっほー やっほー やっほー……」と音が響きますね。

僕の場合、「やまびこ」と言ったら東北新幹線の列車の音が心に響きます。

話がややこしくなるので、新幹線のくだりはスルーしますね。

 

とにかく、音というのは物に当たると跳ね返るわけです。部屋で音を出せば部屋の壁に当たって跳ね返り、さらに反対側の壁に当たってまた跳ね返って……、を繰り返します。音の反射というのは、理論的には永遠に繰り返されると言われていますが、その中で定在波というものが生み出されてしまうのです。大ざっぱな例えで言うと、音の吹き溜まりのようなものです。

 

定在波は平行面があると発生します。また、平行面の距離が近いほど強くなります。

 

つまり、部屋よりスピーカーの箱の中の方が影響が大きいわけです。これを防ぐには、平行面をなくすか、吸音材を入れるかの二択になります。しかし、吸音材を入れすぎると響きが減りすぎてつまらない音になる可能性があります。そこで球面に到達することになるんですね。

 

「デスクトップCC星人」も、ほぼ曲面で構成されているため、定在波がほぼ発生しないと思われます。

以前の実験でも、吸音材の量と質でかなり音質に違いが出ましたよね。

 

理想は吸音材ゼロですが、それに近付ける方法として壁を球面に、これは部屋ではなかなか実現できませんが、エンクロージュアならば可能というわけですね!

部屋では波長の長い低音の処理が難しくなります。本格的にやるにはリスニングルームの設計から始める必要があります。最終的にオーディオシステムの音を決めるのは部屋になるので、これは永遠の課題とも言えますね。

そういう話を聞くと、趣味のオーディオは底なし沼だなあ。

そこは「奥が深い」と言ってほしい。

それにしても、この「デスクトップCC星人」のユニークな形にはそんな深い狙いが隠されていたなんて。確かに曲面にすれば音の反射が起こりにくく、その結果定在波も起こりにくいのかもしれないですね。パッと見たときにはオバQかなと思いましたけれども。

オバQなら、頭に毛を三本生やしたいところですね! 誰もが楕円形から卵型スピーカーを思い付きますが、これは宇宙人型で底面は末広がりとなっており安定感がありますよね。よく出来ています。あ、ここにバスレフポートがありますね。

 

脚は一体形成で底面にバスレフポートを備える。

まあ、なんとなく形を見れば"宇宙人"というのは分かるのですが、“CC”というのはどこから来たのでしょうか?

C.C.と言えば「コードギアス 反逆のルルーシュ」ですよ! あ、C.C.は魔女か。

?????

あ、たかゆきさんにはアニメネタ通じなかったですね。CCというのはCCレモンのペットボトルの底を切ってユニット取り付け部の型に使ったことからのネーミングです。

なんだ、宇宙人+CCレモンということなのか! 形もネーミングもユニークなスピーカーですね。おっ、持つと意外と軽い!

FRPですからね。

OK、グーグル。FRPを説明して。

人を音声検索代わりにしてはいけません。

 

FRPとは”Fiber Reinforced Plastics”の略称で、「繊維強化プラスチック」のことですね。意外と気付いていないかもしれませんが、わたしたちの周りにも身近に使用される素材なんですよ。たとえば、公園のすべり台などの遊具や、ユニットバスとかね。

軽いだけでなく、ただのプラスティックと比べて強度があるんです。

ナルホド、コレハ宇宙船ノ材料トシテ使エソウダ!

へえへえ、そうですね。

今すぐFRPの宇宙船で旅立つがいいよ。

気が向いたら旅立つことにしますね。で、どうやって作るんですか?

カンタンに説明すると、FRPは型に剥離剤を塗ってから、適当なサイズにカットした布状のグラスファイバーを乗せていきます。その上から液状のポリエステル樹脂を刷毛で塗って含浸させます。最後に硬化させて、型から剥離させれば完成です。

 

宇宙人のオス型をまず粘土で作り、FRPでカバーして画像のメス型が完成する。

メス型の内側はツルツルに仕上げられている。

型の内側にグラスファイバーを乗せていく。

ポリエステル樹脂を刷毛で塗っていく。

型からはがして接着して研磨して塗装すれば完成。

カンタンに、って言いながら随分詳しいですね。ゴンさんもしかして作ったことあるんですか? FRPスピーカー。

昔ちょっとバイクの部品を補修しようと思ってかじったことがあるだけです。FRPは型が命! 

 

その点、安福さんはFRP造形が本職ですから完成度は抜群です。最初、初心者向けのシンプル部門に応募されたのですが、実物の出来映えを見て一般部門に移っていただいたそうです。

今までにも陶器コンクリートアルミ樹脂など、さまざまな材質が登場しましたが、FRPは珍しいですね。木材と比べても、当然ながら耐水性に優れていますよね!

その点では「防水スピーカー」も作れちゃいますよね。MDFより柔らかいので、削るのも比較的容易です。実際にこの「デスクトップCC星人」を聴かせてもらいましたが、FRPのクセは感じられませんでした。このサイズなら問題ありませんね。

おお〜っ! 素晴らしい! 他の素材に比べると敷居は低そうだし、なんとなくカッコいいから、FRPで「宇宙船型スピーカー」を作ってみようかな!

まあ、がんばってください。ちなみに、材料と道具を揃えたり、換気のいい場所の確保をしないといけなかったり、ガラス繊維が飛び散って大変だったりとか、けっこうハードルは高めですよ。

なかなかうまい話ってないもんですね。作る前から燃えつきました。


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