第12回:自分好みの真空管アンプを選びたい!〈製品編〉

今回は10月8日、9日に行われた「真空管オーディオフェア」で見かけた真空管アンプを中心に、話を進めましょう。その前に、構造からでなく、外見から真空管を分類してみましょうか。

おっ、中身でなく、ルックスから入るんですね! 前回は3極管とか5極管が登場しましたが、今度はどんな分け方になるのでしょうか?

今回は形状で分類します。形状が異なっても内部構造は同じで、差し替えられる真空管もあるんですよ。まず、この画像を見て下さい。

左から、mT管(ミニチュア管)、GT管/整流管、ST管(ダルマ管)、GT管/5極出力管、GT管/ビーム管KT66、GT管/ビーム管KT88、ST管/直熱3極管300B。

あー……。こうして並べると、大きさがかなり違いますね。やっぱり大きいほうが真空管らしくて迫力を感じますけれども。

mT管ST管だと親子ほど大きさが違いますね。小型高性能を実現したのがmT管ですが、音質がいいとは限らないのが、オーディオの面白いところです。もっと小さいサブミニチュア管というのもあり、ポタアンにも使われていますよ。

ポタアン?

 

 

 

 

ポータブル・ヘッドフォンアンプ、略してポタアン。

おなかすいてきた。帰りにコンビニでつぶあん買って帰ろう。あ、これ面白いですね。真空管なのに、外装が金属でできてる。ルックス重視なのに、これじゃあ鉄仮面で顔を覆われているみたい。変なの!

これは軍事用に作られたメタル管です。高信頼管なので音がいいという人もいますが、確かに人気はないかもしれません。

そんなに信頼してくれてるんですか! ボクのこと!

高信頼管は、先ほども触れたように、軍事や医療など高い信頼度が要求される専門分野向けに開発されたものなので、真空管のことは信頼していますが、たかゆきさんのことは、まだそれほどオヨビでないですが……。

がちょーん。あ、これ見てください。これは優雅な形で、ノスタルジックな真空管ですね。

古典管とも呼ばれる古い真空管で、ナス管と呼ばれています。1930年代まではこのデザインが主流でした。

またおなかすいてきた。つぶあんとナスじゃ、組み合わせがあまりよくなさそうだな……。

集中してくださいね!

ヒジョーにキビシーッ! あ、これはまた大型の真空管ですね〜。

レイセオンRK-715Bという送信管ですね。電極が上部にもあるのが特徴です。送信管にはもっと巨大なものもあります。

ソーシンカン?

簡単に言うと、無線送信機などに使われていた真空管です。大型でまぶしいくらいに光るものもあり、真空管アンプ用としても人気があります。

合点承知の助! では、この角が2本あるのものは?

これも送信管双5極管ですね。中に2個分の5極管が入っているので、電極も2本あります。互換性のある丸っこい832Aを、私はニコちゃん大魔王と呼んでいます。右にあるのは316Aという珍しい真空管で、航空機に搭載されたトランスミッター用です。

へぇ〜真空管はいろんな場面で使われていたのですね! 男のロマンを感じます。

次は、いよいよ真空管アンプの種類についてですね。会場をざっと見回すと、小さいアンプから巨大なアンプまでいろいろありました。弊社も2階にブースを出していますが、この階は物販中心なので、秋葉原のガード下みたいな雰囲気になってますね!

確かに「真空管オーディオフェア」は、他のイベントと雰囲気違いますね。ご年配の方が多くて、さっきからチラホラ聞こえてくる、たかゆきさんの昭和のギャグがウケそうです。

アンプに関しては、前回も出てきましたが、シングルプッシュプルかに分かれます。シングルアンプは音色に魅力がありますが、小出力なのが弱点です。プッシュプルは低域に馬力があって、真空管の数を増やせば大出力が取り出せます。

うーん……小出力のシングルアンプだと、1W〜8Wとすごく数字が小さくて心配です。トランジスタアンプなら、入門機でも20〜30Wはありますよね。

シングルアンプは、フルレンジ一発の小型スピーカーか、バックロードホーンなどの能率の高いスピーカーシステム向きです。出したい音量にもよりますが、スピーカーユニット能率は、できれば90dBは欲しいですね。能率が低くて強力な磁気回路を採用した小型2wayスピーカーは、プッシュプルで鳴らすのに適しています。また3wayフロア型とかトールボーイも、プッシュプル向きですね。

じゃあ、デスクトップで鳴らすなら、3極管シングルで充分そうですね!

ん? 3極管は古い真空管なので、結構大きめですよ。デスクトップに置けるサイズは、6V6あたりが限界だと思います。まあ、真空管アンプはやはりルックスも大切で、大きくて明るく輝く、直熱3極管、特に300Bを使った真空管アンプが人気です。

これぞ、一般的な「THE 真空管アンプ」って気がします。各メーカーからいろいろな300Bが発売されていることから、人気の程がわかりますね。

まずは、オリジナルの真空管アンプ・キットがたくさんあって、比較試聴のイベントを行なっている「ザ・キット屋」に行ってみましょう。

早速、見つけました300Bシングルアンプ! ボディがシルバーで現代的ですね。入力切替とボリュームがあるので、プリメインアンプとして使えますね。

JB-320LMキット」ですね。直熱3極管で人気を二分する、300B2A3のコンパチブル仕様。スイッチを切り換えるだけで、真空管の変更に対応します。6V6は、EL346L6と差し替えられます。これがいわゆる球転がしですね!

球転がし」! おぉ〜マニアの世界に片足突っ込んだ気分。ちょっと前に「タモリ倶楽部」で「真空管 球転がしバトルロイヤル」って企画をやってました! 確かに真空管を差しかえただけで、音は全然違っていましたよ。球を変えられるということは、キットが完成してからも楽しめるわけですね。あっ、ここにもっとシンプルなシングルアンプがありますね。

SV-S1616D/300B仕様キット」ですね。真空管レスで8万5320円と手頃な価格で、300Bが楽しめる自作派応援キットです。同じ構成で2A3用、KT88系のキットも選べます。整流管の替わりにダイオードモジュールが標準装備されたユニークなキットで、売れ筋モデルですね。

真空管アンプ・キット、挑戦してみたくなりますね。トランジスタアンプ・キットと聞いても、なぜか食指が動かないのに。

これが5極管プッシュプルアンプの「SV-P1616D/多極管仕様キット」です。いま使われているのはKT-150で、この真空管なら37W+37Wの出力が出せます。これが300Bシングルでは8W+8Wになります。

かなり出力に差が出るんですね。で、真空管アンプキットって難易度は高いのでしょうか?

キットにもいろいろあります。例えば、ブロックごとにサブシャーシに分割して、作りやすくなっているキットもあります。中はこんな感じになります。基板なしディスクリート(個別)配線なので難易度はやや高いですね。配線の枝ぶりが音に影響します。

これはっ……! 好きな人ならずっと見てられるような配線なんでしょうね。できたらカッコいいけど、これは自分には無理そうなので、もっと簡単なキットはありませんか?

こちらが基板空中配線の両方を使ったキットです。ラグ板を使わないのでかなり難易度が下がります。

うーん、やっぱりマニアの世界だ……。部品点数が多いので、配線自体はさっきのより多そうに見えるのですが……。

そんな人にはエレキットがオススメです! 私も作りましたが、基板に部品をハンダ付けするだけで完了です。すべてのパーツが基板上に乗っているので、組みやすいですよ。

おっ、これならできそうです! 真空管がささっていなければ、トランジスタアンプに見えますね。

今度は、格調高いウッドケースが特徴の吉柴音響の「300B-wood」です。出力トランスから300B専用に開発した気合いの入った新製品です。

これはまたシンプルですね。真空管が4本しかありません。すべての端子がトップパネルに配置されているのもユニークですね。この黒いつぶあんの色みたいなのも、真空管アンプなんですか?

相当おなかすいてるのですね。これはプリアンプです。フォノイコライザー回路真空管を3本使っているそうです。100万円以上する高級機ですね。

真空管アンプなのに、真空管がまったく見えないタイプもあるんですね。素顔を見せない魔性の真空管、と言ったところでしょうか。これだとルックスで見分けがつきませんね。

真空管プリアンプは、昔から球が見えないデザインが一般的ですよ。

ふーん、クールなやつですね。

こちらにはチェコで作っているハイエンド直熱3極管のブランド「KR Audio Electronics」の球がズラリと並んでいて壮観ですね。この下段の左端は、写真でしか見たことのない古典管では!

お、ゴン先生、スイッチ入りました。ハカマが金色というのが貫禄すら感じますね。

初めて見ましたよ! 「KR Marconi R Valve/MP」というタイプでペア6万480円ですね。

こちらにはナス型の300Bがあります。このカーブはいいですね。しかし、ペアで特価でも、さすがに手が出ませんね〜。

まあ、ヴィンテージ管となれば、真空管アンプより値段が高いことはざらにあります。それを思えば、KRはマイスターによるハンドメイドにこだわる球なので良心的と言えます。

いままで真空管アンプをスルーして来た……というか、なんとなく高嶺の花のように思っていたのですが、こうしてみると、ただ音が出るモノということだけでなく、機械としての魅力にあふれた生き物のようですね。ルックスだけではわからない、真空管の性格や内面を知ることができて、より身近に感じることができました。

 

これを踏まえて、自分好みの1台を選んでみます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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