第7回:吸音材によって音が変わる?[前編]

前回はバックロードホーンを取り上げたので、今回はバスレフそれとも密閉式についての話題かな?

バスレフ方式は「オントモ・ヴィレッジ」でも扱っているので、ちょっとだけ知ってますよ! バスレフは「bass reflex」のことですね! あれ、もしかして「一眼レフ」の“レフ”と「バスレフ」の“レフ”は同じ意味ですか?

正解! 一眼レフは英語で「Single-lens reflex camera」と言いますが、「reflex」は「反射」という意味がありますよね。あとで解説しますが、バスレフは音の「反射」が関係しており、カメラは光の「反射」が関係しているわけです。前回は「?」がたくさん付いていましたが、今回は冴えてますね。よく“レフ”という言葉に気が付きました!

やったー! 褒められた〜! もうひとつ気付いちゃいましたよ、「トカレフ」の“レフ”も実は同じ……

全然違いますよ! すぐ調子に乗るんだから!!

むむむー! 怒られた〜! ところで、聴きたかったのがバスレフ吸音材のことなんです。「オントモ・ヴィレッジ」で販売しているバックロードホーン・キットの内容を見ると、吸音材が極端に少ないんですよね。バスレフ型吸音材が大体2〜3面ぶんが入っているのですが……もしやケチっているとか!? この差って何なんでしょうか?

8cmバックロードホーン・キットは、吸音材が1本1枚だけ付属。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吸音材の量はスピーカーの方式によって異なります。例えば、私が使っているApogee「Duetta Signatureプレーナー型なので、吸音材の量はゼロです。後ろからも音が出るので、吸音する必要がありません。

左から右にいくほど吸音材の量が多くなっていく。

 

バックロードホーンの吸音材は、多くても写真の5箇所ぐらい。小さなモデルでは1箇所のことも。

プレーナー型は、そもそも吸音材を入れる箱がないですね。後ろから出る音も聴くことになるんですか? 特殊ですね。普通のスピーカーなら、音は前からだけですよね。

第2回でも説明しましたが、前から出る音は正相、後ろから出る音は、それと真逆の逆相なので、混じり合うと音が消えてしまいます。Apogeeは背面から出る音の処理が重要で、最低でも壁から1m以上離す必要があります。では、ここで問題です。普通のスピーカーの場合、後ろから出た音はどこへ行くと思いますか?

出ていく場所がないわけですから、それはきっとエンクロージュアの中に閉じ込められますよね? そういえば、バスレフ型バックロードホーンは、その一部を利用して低音を増強すると聞いたような気がします。

正解です! 後ろから出た音は、素早く吸音する必要があります。そのため、エンクロージュアの中には吸音材が詰められています。

でも、吸音ってその名の通り「音を吸う」ことでしょ? 逆に低音が出なくなりませんか? 「オントモ・ヴィレッジ」や「Stereo」編MOOKの付録のバックロードホーン・キットは、少量の吸音材音道に薄く貼るだけですし。ほら。

もう一度、見せます。

バックロードホーンは、スピーカーの後ろに折りたたんだホーン(音道)が付いている方式です。これがラッパの役割を果たすので、吸音材を貼ると、音が吸われて低音が出なくなってしまいます。スピーカーの能率も下がるので、吸音材は必要最低限にするのがセオリーです。

なるほど〜。後ろの音は、低音の量感を出すために、吸わずに伸ばすのですね。ということは、密閉式吸音材がギュギュウに入っているのは、逃げ場のない音を吸わせるためなんですね!

そうです。なので、低音を出すための穴が空いているバスレフ型よりも、密閉型のほうが吸音材の量は多いです。

特に1950年代にAR(Acoustic Research)が、アコースティック・サスペンション方式を開発、小型スピーカーの低音の再生限界を伸ばしました。このときに、歪みを抑えるため吸音材をギュギュウに入れたのです。有名なモデルは「AR-3a」で、日本にも輸入されて大人気になりました。トランジスタアンプが普及したおかげで、低能率ユニットを大出力でドライブ可能になり、実現した方式のスピーカーなんです。

ははぁ……また方式の新しい名前が出てきましたね。ま、なにはともあれ、密閉式はたっぷり吸音材を入れるんですね! 自分の中で点と点が今つながりました。実は先日、バスレフ式の「Ishida model」の吸音材の量を増やしたら、音が良くなったんですよ! やっぱり吸音材の量や素材で音質が変わるんですね。不思議です。吸音材をめいっぱい詰め込んだら、なんだかラッシュ時の通勤電車みたいだなと思ったものですが……。

無垢のブラックウォールナットを前後のバッフルに採用して話題を呼んだオーディオ評論家・石田善之氏監修の「Ishida model」。

 

Ishida modelは底板がネジで外せるので、自分の好みで吸音材の調節ができる。

どうしても鉄道ネタを入れたいのですね……。私もそんなに厳密に比較試聴したことはないものの、一般的に吸音材の量を増やすとS/N感が向上して、付帯音が減る、音像定位が向上する、音の輪郭がハッキリするなどのメリットがあると言われています。

逆に量を減らすと、音が前に出る、鳴りっぷりがいい、音色が明るくなると言われています。

無理に混雑した電車に例えるなら、乗客が押し合わずにスムーズに乗り降りできるか、お互いぶつかり合いながら一気にドッと出てくるようなイメージなのでしょうか。また、吸音材の種類によっても当然音色に違いが出てくるかもしれませんね。

素材による音の違い! あるのですかね、気になりますね。天然素材がいいのか、ハイテク素材のほうがいいのか!?

従来は、吸音材の量を増やすと音が死ぬとか、勢いがなくなると言われてきましたが、現代のハイエンドスピーカーは余計な響きを嫌うために、エンクロージュア自体に剛性の高い素材を使い、バスレフでも吸音材をたっぷり入れる傾向があります。

昔のスピーカーは、ウッドキャビネットの響きを音づくりに活かしてたんですよね〜。それで銘木が使われたりしていましたが、今はMDFが主流ですから、響きより吸音重視なんですね。

それでは次回、4種類の異なる吸音材を使って、吸音材の質と量で音がどう変わるのかを実験してみたいと思います。

「Ishida model」の吸音材を取り替えて試聴する。

 

音を比較試聴するため、吸音材3種類を用意。

4種類も!? 音の違い、聴きとれるかな〜。楽しみです!

 


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